[会話/戯曲]準える
(2011/01/12 23:24:42)


「君にとって僕は何だい?」
「え? どうしたの。急に」

「や、喩えたら何なのかなって」
「ああ。そう云うこと。えっとねぇ…」


「何?」
「親戚のお兄さん」

「親戚の…?」
「そう」

「それはどう云う…」
「たまに遊びに来てお小遣いくれるの」

「小遣い… や、そうじゃなくて──」
「え? あたし、何か気に触ること云った?」

「や、そう云ったリアルなものに喩えるのではなくて…」
「えー。何だろ。何だろ。んー… じゃ、あたしはあなたにとって何なの?」

「君?」
「そう。教えて」

「脈拍──」
「!?」

「君は僕の脈拍さ」

そう云うと彼は微笑を浮かべた。
小さな胸の奥がトクンと脈打った。

Tags: リアル


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