[エッセイ/随想]掃き溜めに鶴
(2014/11/22 18:21:01)


さて、煙草吸いが隅に追いやられて早幾星霜(いくせいそう)
街角から切り取られた喫煙スペースはお世辞にも美しいとは云えず、煙草の空き箱や空き缶などが不様に散乱しており、大抵が吹き溜まりと化している。

閉鎖的で排他的なその空間では、皆一様に押し黙ったまま噴煙を撒き散らし、虚空を捉える視線の先には夢や希望と云った類いはすっかりなりを潜めている。


そんな中、おおよそこの場には似つかわしくない見目麗(みめうるわ)しい女性が現われたりすると、思わず溜息が洩れる。

立ちはだかる周囲の障害物をそれとなく(かわ)し、吸い殻入れの前に陣取る。
バッグからライターを取り出し、煙草の先に火を点ける。おもむろに一服。

他の煙草吸いと同様、何気ない一連の動作のはずなのだが、唇から吸い込まれる煙にすら嫉妬する。

掃き溜めに鶴──。そう感じる瞬間である。

喫煙スペースには、閉塞感漂う中だからこそ拾えるささやかな楽しみがある。

人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます。吸い過ぎには注意しましょう。

そんな感じで♪

Tags: 夢, 希望, 幾星霜, 掃き溜めに鶴, 溜息, 煙草, 瞬間


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