[エッセイ/随想]キーワード・リトマス試験紙
(2009/06/03 09:48:23)


僕は試されるのが嫌いだ。

それは、及第点・落第点を取るのが怖い訳ではなく、こちらの据えた定義ではない定義で一緒くたに塗り固められることに我慢できないからだ。

要するに「平均」を嫌う傾向にある、と云うこと。

僕は僕が嫌うことを極力他人に投げない。
お為可笑しい綺麗事からではなく、こちらの据えた定義ではそれが「当然」。

そんな風に感じているからだ。

…とは云え、やはり「完璧」ではない。
僕は試されるのが嫌いなクセに他人を試す。

──「キーワード・リトマス試験紙」である。


「ボキャブラ」と換言してもよい。
その語彙をどのような定義で捉えているか?

少し脱線、、

以前、「シークレット定義バトン」なるものを創設したが、今でも何処かで出回っているのだろうか?

僕から当時の彼女へ。そして、彼女の友人らに廻された。途中、バトン名を英語に変造されたようだが、オリジナルは僕のものだ。

バトン名を英語に変造したからと云って内容が変わる訳ではないし、バトンごときに英語の難読さをプラスするなどと、そんな無粋なセンスは持ち合わせていない。

「シークレット定義バトン」
バトン置場に転がっているかも知れない。


閑話休題。


僕は語彙の定義でその人の定義を測る。

…などと大袈裟に綴ってみたが、平たく、大抵が「言葉遣い」で凡そ測れるものだ、と云いたいだけだ。

その中でも「キーワード」と云う部分にスポットを当てる。
つまり「大事にしている言葉」など。

逆に「トラウマワード」なんてのはこの対極なのかも知れない。

キーワードとは…大事にしているかはさておき…気になる言葉、引っ掛かる言葉、と云うことだ。


「覚悟」。

こんなキーワードをポンと出してみる。
そこで相手の反応を窺う訳だ。

一般的に「重い」とされている言葉を敢えて唐突に出してみる。

それで或る程度「程度」は測れる。

普段から「脳内会議」に余念がない者はこんな言葉を聞かされたところで怯んだりしない。

逆に、目の色を輝かせたりするくらいだ。

「運命」と「宿命」──その「違いは?」などと、脳内愉悦に慣れ親しんでいる者は大抵がイマジネーション豊かだ。

話を話として「客観的」に捉え、そこから「主観」を述べることができる。
所謂「感情論」に呑み込まれることが少ないのだ。

平たく、本を読んでいるように会話ができる、と。


最近使用したキーワード・リトマス試験紙に「綱渡り」と云うものがあった。
「綱渡り」と云う語彙をどのように定義しているか──。

「ハラハラどきどきで楽しいよね?」

「楽しむ」と云うフレーズまで込めて来た。
僕はそれに早合点してしまったのだろう。

「ああ。僕の綱渡りと同義だ」と。

実際には、まるで掛け離れた定義であったが、、苦笑

彼女のそれは、単純に「与えられたチープな綱渡り」であった。
生身の、血肉の通っていない「絶叫マシーン」のそれと同等レベル。

僕の定義はもっと広範囲に渡る。


僕の話は難しい、と云われることがあるが、僕はちっとも難しいとは感じていない。

文章に起こして読み解けば、とても簡単に浸透する。何の変哲もない「当たり前のこと」しか云っていないからだ。

それを「難しい」と感じるのは僕が「漢字」で喋るからだ。
日常会話でわざわざ発声しないような語彙を用いて会話する。

そうして、僕は「煙幕」を張るのだ。
「おう。簡単に捉えるなよ? ごっつ悩め。考えろ」と──。


会話下手だと悩んでいる人にこの「キーワード・リトマス試験紙」を使って頂きたい。

物質的な試験紙がある訳ではなく、飽くまで「イメージ」の話だ。

極論、お話なんてのはすべて「非実在」なのだ。
つまり、すべて「フィクション=作り話」だ。

輪郭を象る作業が「会話」なり、だ。

イメージを、抽象を、偶像を、あたかも眼の前に実在するものとして、手を替え品を替え「喩え話」をしているだけなのだ。

このキーワード・リトマス試験紙がイメージできれば、それを使って自身と他人との論点のギャップなりをテストし、いち早くキャッチできると思う。

「お前の話は訳わかんねーんだよ!」

こんな科白を聞かされた場合、その人の分かる「訳」で話をすれば良いのだ。

キーワード・リトマス試験紙で「反応」を読み取っているのだ。即座に「ライン」を揃えることができるだろう。

その反応に基づき、いろいろと試行錯誤する。
挙げ句、

「ああ。この人には何を云っても通用しないな…」

と判断した場合、潔く速やかに撤退する。

そうすれば無駄なカロリーを消費せずに済む。

また、逆の立場で捉えれば、訳の分からない話を延々と聞かされる苦痛から開放される。

 双方共に利害が一致する。

実にシンプルでスマートな方法だ。


「面白い」は制御可能だ。

他人の「面白い」を制御しようと試みる前に自身の「面白い」を追求する。

自身の感じる「不都合」や「不愉快」をぐるぐる撹拌する。

「不都合・不愉快」は、どこまで行っても「不都合・不愉快」ではあるのだが、撹拌することによって「稀釈」される。

「好都合・愉快」も一緒に撹拌されるからだ。

撹拌することによって「境界」が溶け、互いに「融和」する。──つまり、ボーダレス、だ。

渾然一体となった清濁両極を併せ呑むと、そこには「未曾有の悦楽」が横たわっているのだ。

命名「自己洗脳」──近似値「自己暗示」である。

──「面白い」は制御可能だ。


 定義=輪郭
 輪郭=定義

「面白い」の輪郭が一番曖昧なのかも知れない。

故に、輪郭を象る作業に、遮二無二、頑張るのだろう。

「頑張る」とは、「我を張る」と云う意味だ。

さ、頑張りましょう☆(´∀`*)y-〜♪

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