[エッセイ/随想]一回転半のススメ
(2009/07/30 19:56:29)


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燕雀(えんじゃく)(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)(こころざし)を知らんや

 白文:燕雀安知鴻鵠之志哉

僕の好きな言葉のひとつ。
史記「陳渉世家」出典。陳勝の言葉。


この陳勝と云う人物は陳勝・呉広の乱で知られることとなった人物であるが、若い時分、彼は日雇い農夫をしていた。

仲間に対して大きなことを吹いては揶揄されていたのだが、そのとき放った言葉が冒頭のフレーズだ。

ツバメやスズメのような小さな鳥にどうしてオオトリやクグイのような大きな鳥の志が分かるだろうか。小人物には、大人物の大きな志は分からない──と。


紀元前209年、兵士であった陳勝は秦の官吏に命じられて人夫を護送していたところ、途中の道で大雨に遭遇し、どうしても期日に間に合いそうもなかった。秦の法律では人夫が1日でも現場に遅れたら死罪である。

追い詰められた陳勝は「どうせ殺されるのならば…」と、仲間の呉広と共に反乱を企てた。

まずは、自らを人民から人気のある扶蘇・項燕であると詐称した。そして、魚の腹に「陳勝が王になる」と書いた布を入れ、夜に火を(かし)ぎ、狐のような声で「陳勝が王になる」と吹聴した。

こうして「陳勝には不思議な力がある」と人夫たちに思わせた。

成り行きに不安を覚えた呉広が「俺は逃げる」と騒ぎだしたために怒った指揮官が呉広を鞭打った。陳勝はその間隙を縫って指揮官を殺害し、それを契機に反乱を起こした。

「王侯将相いずくんぞ種あらんや!」

 白文:王侯將相寧有種乎

王や諸侯、将軍、宰相になるのに血筋や家柄が必要な訳ではない。誰でもそう云った顕位に登ることができるのだ。

このとき彼はこんな名言も吐いた。

陳勝の反乱軍は瞬く間に膨れ上がり、旧楚の首都・陳城を占領した。その直後に賞金首として秦から追われていた張耳と陳余が配下となった。

そして、楚を復興したと云う名目で国号を「張楚」とし、自ら王位に就き、これに応じた地方の将軍や農民らも反乱を起こした。史実上、著名な項梁・項羽・劉邦もその中のひとりである。

冒頭のフレーズ。つまりは、のちの「張楚王」の言葉である。まさしく、鴻鵠の志を知らんや──である。


史記には、その他にも多くの故事成語が見られる。



面白いのは「鹿を馬となす」と云う言葉。これも出典は史記である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/史記
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

所謂「馬鹿」の語源とも云われる言葉だが、馬鹿と云う言葉は、そもそも「莫迦」と云う僧侶間でのスラングが語源であると云われている。つまりは仏教用語である、と。

多分に、こう云った語彙誕生の経緯なりを知らずして、普段、何気なく垂れ流したりするのだろうが、さておき…

前置きが長くなったが──「一回転半のススメ」である。


大層な前置きの割りに拍子抜けするかも知れないが、詰まるところ、一回転くらいでは生温い、と。一回転したら元の位置やしねw

前置きの流れから汲むに、「馬鹿・普通・天才」の話をするのだろう。

vin.ちゃん、やっちゃってー(´∀`*)ノ


馬鹿と天才は紙一重などと云われるが、紙一重の僅差に翻弄されるまでもなく、もう全然、思い切って突き抜けよ。

完全にぶっちぎっちまいな。

と、簡単に云えば、そう云うことだ。

他人に「馬鹿」だのへったくれだの、そんな「評価の言葉」があるうちは、ちっとも「オリジナル」ではないのだ。

或いは「個性」などと云うことが真しやかに取り沙汰されたりもするが、突き抜けていない者にその「個性」とやらは、本来、皆無なのだ。

微塵もナッシング。


測れる物差しがある以上、それ以上でもそれ以下でもない。「真の破天荒」とは、そもそもそんな次元には居ない。破天荒を善しとする、と云う訳ではないが、僕は、そんな風に感じる。勝手知ったる破天荒など……可愛らしいものだ。


…とは云え、好き好んで排斥されるような道をわざわざ選択することもないので「適当」に取り繕う。

理解の度合いで左右されるような向きに自身の根幹を預ける必要はない。「流麗」と云う言葉は、そのための呪文のひとつだ。


一回転半していると…そう努めているだけでも…不思議と「怖いもの知らず」が貫ける。心地好く風雅な涼風が精神世界を優しく撫でるのだ。


燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや


僕は、この言葉を中学生時分に知った。その頃からこの言葉を座右の銘のひとつに加えていた。

言葉は安い。特に、綺麗事の類いはワゴンセールだ。ただ、それを重く捉える者だけが、その言霊によって自身のポテンシャルを自らで覚醒させる。

そんな気がしてならない。


さぁ、弾けちまいな☆(´∀`*)


【追記】

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