記憶から想起までの過程は以下の通りである。
記銘(きめい)→保持(ほじ)→再生(さいせい)→想起(そうき)
ステップ毎の詳細について。
記銘とは、記憶の第一段階。経験内容を覚えこみ、定着させる。銘記(めいき)。
保持とは、記憶の第二段階。記銘された経験内容が量的には減少し、質的には変容しながらも残存・維持される過程。把持(はじ)。
再生とは、記憶の第三段階。記銘され保持された経験内容を再現する。
──このような段階を経て、人は「想起」する。
想起──。
古代ギリシヤの哲学者であるプラトンは、この「想起」を、人間の魂が真の知識である「イデア」を得る過程、としている。
人間の魂が「真の認識」に至る過程を、生まれる前に見てきたイデアを思い起こすこと、として説明した。
イデアとは、プラトン哲学の中心概念であり、個々の事物をそのものたらしめている根拠である「真の実在」のことを差している。
アナムネーシス──。
「前世の記憶を紡ぐ」とは、こう云うこと。
「プラトニック・ラブ」の「プラトニック」は、彼の名前が由来だ。
つまり、「プラトン的な愛」と云うことなのだが由来の当人。彼は哲学者故か、モラリストであり禁欲的であったそうだが、同性愛者であったことも諸説に浮かぶ。
特段、同性愛者を卑下するつもりではないが、そう云った内情を踏まえると、「プラトニック・ラブ」の定義が微妙に色褪せる気がするのは気の所為だろうか。
記憶から想起までの過程を考察する上で偉大な先人をディスる。
それは生ある者の特権である。
「生きているうちに使えるものは?」
「お金かなぁ?」
「や」
「え? じゃ、なぁに?」
「知りたい?」
「うん」
「頭だよ──」
お見事。
ヴィンセントニック・ラブ☆
さぁ、なけなしでも前世の記憶を紡ぎ給え。
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