「右向け右」の対極として「アンチイズム」がある。つまりは「主流」を傍目に「反主流」と云うことだ。
順風満帆とは凡そ掛け離れた思想ではあるが、幼少の頃からこのテーゼに基づき、終始しているように感じる。
平たく云えば「反骨」と云うことだが、「魂のレジスタンス」と云う呪文を唱えてみる。
アンチイズムとは、主流を知っているが故の思想であり、単純に「みんなと同じはイヤなの〜」的な発想では到底、成し得ない。
濃度の薄いアンチイズムなど赤子と変わらない。駄々を捏ねて受け入れられる時期と云うものは非常に限られた時間だ。
多分に、濃度の違いを度外視すれば、年令を重ねれば重ねた分だけ相応の「杓子」は出来上がる。
「キャリア」「経験則」などと云う言葉でも括れるが、或る程度は判断力が備わる、と云うだけのことだ。
「や、あなたの気持ちは分かるけれど…」
「や、そこは普通、一歩退いたほうが…」
このような類いを耳にしたとき、何ら、ときめかない自身を知っている。
一向惹かれない。一陣の風が足許で絡み付く。
そんなことは頭では分かっている筈なのに、何故、人は動いてしまうのか?
生きているからだ。足許覚束ずとも。
そうして、うっすらと「自己顕示欲」の存在を知る。
それは安易な「目立とう精神」ではなく──「未練」と云う名の「希望」も別角度から斬り込んでくる。
「未練」とは…割りと勘違いされがちだが…「希望の一種」だ。これがなければ人は簡単に覇気を失い挫折する。
何故なら、未練がなければ無駄な抵抗は一切行われず、何の引っ掛かりもなく「諦観」に至ることができるからだ。
凡人は「煩悩」があるから生きていられるのだ。故に「天下の凡人」と云うマントラを唱える。
アンチイズム──。
余り好印象を持たれる思想ではないのだろうが、僕はこれからもこれを貫くのだろう。
世界は変わるが人は変われない。「変わらない」のではなく「変われない」
「変わった」と判断するのは飽くまでも他人だ。自身では何ひとつ変わっていない自身を知っている。
自分に嘘はつけない、と云ったところか。
逆に、ひょいひょいと変わるほうのが危なっかしい。軽快さとは似て非なる変化、変貌、豹変。
例えば、信頼・信用──総じて「誠意」の類い。それらが軒並み失墜する。そこにはまるで「信憑性」が宿らないからだ。
「以前はそうだったのに…」
「一度そう決めたのに…」
故に、変わる必要はない。
ただ、枝葉を生い茂らすだけで良い。
──日蓮宗派・日寛上人の言葉だ。
主流を知っているからこその反主流。
表を知っているからこその裏街道。
それでうまく立ち行かなくなったのならば──?
簡単なことだ。
裏の裏は表だ。
だとすると、反主流の反主流は……?
──脳内蹂躙。独りSM開始である。
ひんやりと自身の脳を切り刻む。ここでアイロニカルな思考回路が発動する。緊急脳内会議の勃発である。
「裏の裏は表だ。そんなことは知ってる」
「せやんなぁ」
「だから何なのだ?」
「表はあっても占い!」
「つまらん──続けろ」
「ちぇ… ノリ悪いのぅ…」
「ノリを求めている訳ではない」
「じゃ、何?」
「反主流の反主流は何なのか──その答えだ」
「何、そんなことも知らないの?」
「ムゥ… 貴様は知っていると云うのだな?」
「当たり前じゃーん。アンタ、ばかぁ?」
「ムグゥ… 己、こわっぱ。愚弄するか…」
──脳内寸劇、一旦、閉幕。
vincent. 後は任せた!(´∀`*)ノ
オーイエー 合点承知之助!
ただ、可笑しなことに反主流の反主流は主流ではない。
では、それは一体何なのか──?
「一流」と呼ぶ。
どーよ?
この呪文は…(≧∀≦)ウヒャヒャ♪
「己、こわっぱ…」
「vinちゃん、サイコー☆ あったまいー」
「頭いい? ただ単に帳尻合わせのレトリックじゃまいか…」
「帳尻合わせの何が悪いねん?」
「やぁ、せやなぁ… いっこも悪くない…」
「せやろ? おもろければなんでもえーねん☆」
「vinちゃんは裏表がない。全部裏だ」
愉快そうにそう云われたことを想い出す。
君の前だから線を引く必要がないのさ。見えないものが見える人に、わざわざ見せる必要はない。ウィンクひとつで十分。言葉は邪魔くさい。違うかい?
そんな科白を脳裡に並べ苦笑を浮かべる。
面白ければ何でもいい。
やはり、主流で得られるものは程度が知れている。これは主流を否定する物言いではない。
──ただ「選択」しないだけだ。
なけなしでも、威風堂々、骨太の反骨たれ。
四面楚歌でも五里霧中でも暗中模索でも試行錯誤し、傍若無人に流麗飄々と──。
我が魂の命ずるままに──。
*2009.07.19・草稿
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