[.spell]陰と陽
(2007/01/17 21:36:00)


僕はデタラメな男だ。

「デタラメ」とは漢字を当てると「出鱈目」と書く。語源はサイコロ博打などの博打用語からだ。

出た目。

「鱈」は語感を良くするために添えられ変化したもの。デタラメとはこのことを差している言葉だ。

投げられた賽の目は誰にも予測できない。出た目がその世界を支配する。

だからこそ博打として成立するのだ。誰でも予測可能であればそれこそ「鉄板」。

これは競馬用語だが「銀行レース」などとも云われる。単純に「堅い」と云うことだ。

そうなることがおおよそ確実である、と予測されている状態。その「期待」はおおよそ外れることはない。

だが、鉄板であっても外す場合がある。これがギャンブルの世界を支配する「根底的な不条理」。この世界観は一般日常にもそのままスライドする。

日常とは不条理を掻い潜る奇跡の連続。

このように換言することもできよう。生きると云うことが、それだけで「奇跡」なのだ。特別に華々しいことを求める必要はない。


その奇跡の連続を繰り返す中で「陰と陽」と云う概念が発生する。

勝負で云えば「勝ち・負け」など、その他諸々の「対」が発生する。

そして、それは誰にも予測できない。「確実」などと云う概念は「幻想」なのだ。

いともたやすくひっくり返る。その現実は否めない。故に「奇跡」と。


冒頭に戻す。

僕はデタラメな男だ。

一般的概念からすれば好印象を持たれることではないが、僕は当たり前のことを当たり前に綴っただけだ。

賽の目に依って陰か陽に振り分けられる。プログラム用語で云うところの「分岐処理」と何ら変わらない。

ここで「我が魂の命ずるままに」と云うマントラを当てる。

これは「自身の魂が命じた目…自身が投げた賽の目に…潔く殉じよ」と云うことだ。

陰と陽で「陰」に惑わされるな、と。それは「必然」の要素なのだ。

裏目が出たときだけたじろいだりするが、それが「みっともないこと」だ、と。


陰と陽の「バランス」などはどうでもよい。連続して裏目を引いても、それは「自業自得」なのだ。「自」が在るからこそ「得る」ことなのだ。

「業」とは「自」が存在すること。それ以上でもそれ以下でもない。存在がなければ業は生まれない。

それを潔く呑むことが「自身の魂に殉ずる」と云うこと。


僕は出た目を覆さない。
デタラメな男だからだ。

好都合・不都合はどちらも「必然」。
厭ならば降りれば良いだけの話だ。

好都合ばかり望むのは「稚拙な傲慢」。
身が焼き焦がれるような苦渋すらも呑め。
一滴もこぼすな。

我が魂の命ずるままに──。

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