「よく頑張ったね」
彼が優しい表情を浮かべながら彼女の前に立った。彼女は涙をいっぱい溜めた瞳で彼を見つめた。
「神様が見ていたかどうかは知らないけれど、僕は君を見ていたよ」
その言葉に彼女は感極まった。堰切ったように彼の胸に飛び込むと、瞳いっぱいの涙を溢れさせた。彼がポンポンと頭を撫でる。
「頑張った人にはご褒美が必要だよね」
彼女は怪訝な表情を浮かべながら上目遣いで彼を見上げた。
「プレゼントがあるんだ」
そう云うと、綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出し、彼女に手渡した。
「これは…?」
「開けてご覧」
高鳴る胸の鼓動と共にラッピングを解き、箱の中身を取り出すと、彼女は小首を傾げた。
「これは… 何かしら…?」
彼は得意満面な笑顔で答えた。
「眼鏡だよ」
「それは分かるけど… あたし、眼は悪くないわ…」
溜まらず彼が吹き出した。
「そんなことは知ってるよ」
「じゃあ、どうして? 眼鏡を貰っても…」
彼は彼女の唇に人差し指を添えて遮った。
「それは『神様透視眼鏡』だよ。神様が透けてみえるんだ」
「神様透視眼鏡…」
「ああ。それがあれば神様の居処が分かるだろ?」
「居処…」
「居処を突き止めたら文句を云えばいい。どうしてきちんと見てくれないんですか、って」
彼女は穴が空いたように彼を見つめた。
God save me...
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