お待たせいたしまして申し訳ありません
お待ちいただき、ありがとうございます
両者共にこちらの挙動は変わらないものの、後者のほうが好印象だと感じるのは、日本社会に負の文化が蔓延しているからだろうか。
通勤途中でのこと。線路内に落とし物をした人がいたらしく、それを拾得するために発車が遅延したことを伝えるためのアナウンス(女性の声)に心奪われた。
『線路内の落とし物を拾得するために発車が遅れました』
ここで「済みませんでした」か「申し訳ございませんでした」が来るんやろ、と高を括っていたところ、
『拾得が完了するまで、また、寒い中お待ちいただき、ありがとうございました』
──と、この流れ。清々しく期待を裏切られた。
兎に角、済みません、申し訳ありませんでした、がやたらと飛び交う日常オンパレード。その真意は消し飛び、本来の謝罪の意味などは皆無といっても過言ではない。小学生の書いた反省文を聞かされている思いだ。もう二度としません。するんやろ?
或いは、マニュアルの類い。杓子定規に繰り出される通り一辺倒な音声記号。琴線に触れるどころか金銭を請求したいくらいだ。あたしの青春返して! さておき…
そんな日常を跳ね除けるイタギモな呪文。
──ありがとうございました。
ハートに火がついた。
いえいえ、こちらこそ。
ありがとうございました☆
心の中で呪文返しをツウィートなう。
届かぬ想い。嗚呼、君を連れ去りたい。
そんな感じで♪
【追記】
ちなみに、車内アナウンスの「線路内に人が立ち入り」云々というフレーズは、痴漢行為が発生した場合のスラングらしく、まだ、事件として確定した訳ではないので、そうアナウンスされるそうだ。
すると、「拾得物」云々も某かのスラングなのかも知れない。穿って推測を育てると、ピュアなハートが枕を濡らす。(了)
Tags: スラング, フレーズ, 一辺倒, 声, 意味, 挙動, 期待, 杓子定規, 真意, 罪, 負の文化, 青春
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