「君にとって僕は何だい?」
「え? どうしたの。急に」
「や、喩えたら何なのかなって」
「ああ。そう云うこと。えっとねぇ…」
「何?」
「親戚のお兄さん」
「親戚の…?」
「そう」
「それはどう云う…」
「たまに遊びに来てお小遣いくれるの」
「小遣い… や、そうじゃなくて──」
「え? あたし、何か気に触ること云った?」
「や、そう云ったリアルなものに喩えるのではなくて…」
「えー。何だろ。何だろ。んー… じゃ、あたしはあなたにとって何なの?」
「君?」
「そう。教えて」
「脈拍──」
「!?」
「君は僕の脈拍さ」
そう云うと彼は微笑を浮かべた。
小さな胸の奥がトクンと脈打った。
Tags: リアル
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