コンビニの帰り。
いつもの坂道を登り切ると、いつもの場所にいつもの仔猫がちょこんと坐っていた。
何かを待ち焦がれているような表情。
近寄ってしゃがみ込むと、怯えるような視線を投げてくる。ごめんね、 と心の中で呟き、離れようと腰を上げ掛けたら、ゆっくりと歩み寄ってきた。
そっと手を伸ばすと、ぺろっと舐めてきた。口許を緩め、しばらくしてからゆっくり立ち上がった。
下から覗き込むような視線を尻目に、竹林を横目に大事な場所に戻ってきた。
ただいま、と心の中で呟くと、おかえり、と云う声が聞こえたような気がした。
ソファに腰掛け、モニタに向かう。
目の前には火の点いた煙草からゆらゆらと煙が立ち上り、使い切ったテレフォンカードが1枚──。
右側には帽子を被ってリュックを背負った男の子。左側には踵を上げた女の子。
女の子の左手には花が握られている。右手は男の子の左手にしっかりと繋がれている。
互いに寄り添い、互いに鼻を擦り合わせている。
そして、互いの口許には微笑が──。
セピアトーンの何故か懐かしい写真。
カードの右下に「初恋物語」と書いてある。
コメント
2005年08月01日06:11 vincent.
「いつものコーヒー」をひとくち含んだ。
モニタを眺めながら、煙草に火を点けた。
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