「愛」と「殺」は同じこと。
「死」ではない。やはり「殺」だ。
「死」は「状態」「状況」。
「殺」は「能動」「意思」。
似て非なる「現実」と「真実」の違い。
人を愛すると云うことは人を殺すこと。
愛とは強欲なまでの自我。
それを貫こうと他我をねじ伏せる。
極論、他我の思惑・思想・思考・意思などは、根底、無関係。究極の自分本位。恣意的な発想・感覚・傲慢の極致。
相思相愛。
それらを踏まえれば「相殺」と云う言葉が浮かぶ。
共に喰い合う。
食物連鎖ピラミッドのアウトサイド。
そこでも弱肉強食の世界が居坐る。
実質的なカニバリズムではない。肉欲を貪り合い、精神世界を貪り合い、それをお互いに、性懲りもなく、飽き足らず、延々と繰り返しているだけだ。
「天敵」は居ない。
やはり、「敵」とする(される)矛先は「仮想敵」と云うことになるのだろう。
妄想。バーチャルトリップ。
敵だと認めた自身に翻弄されているだけ。
敵など居ない。誰もが「無敵」だ。
それでも怯んでしまうのは自身の作り出した虚像に怯えているだけ。
無敵が故に誰とも勝負ができない。
否、そもそも勝負が成立しない。
どちらも挑んでいないし、闘っていないからだ。
故に、他我と交わると云うことは、救い難い自我との闘争を稀釈しているだけに過ぎない。
延々と自問自答を繰り広げると厭世観に拍車が掛かる。
世の流れなど、どうでも宜しい。
安定していると情熱が冷める。
不安だと情熱が燃え盛る。
奇妙なクロスロード。スパイラル・クロス。
ここに両極を纏うことの骨髄髄液を見る。
矛盾してないことなどひとつもない。
恋愛に置き換えると理解に容易い。
恋愛至上主義ではないが人は安易な喩え話を好む。
例えば、親の反対、友達の反対、等々。
障壁があればあるほど情熱は燃焼する。
「お願いだから邪魔しないでくれ…」
その障壁がひとつひとつ除去されるに連れて、情熱と云う焔は嘘のように鎮まり返る。
ふたりで乗り越えようが、ひとりで打ち破ろうが…
その障壁を除去するのに、どれほどの魂が消費されたのか。優雅な健忘の砂嵐が吹き抜ける。
ありがとうが白々と空々しい。
ごめんなさいがシニカルな苦笑を誘う。
そして、それは「お互い様」なのだ。
狡猾。
けものへんに交わると書いて「ずるい」。
けものへんに骨とかいて「ずるい」。
特に我々は思考回路がある分、他の獣と比較して厄介なくらいに獰猛に狡猾だ。
根底の狡猾さ。骨に滲み渡った狡猾さ。
それを払拭することは決してできない。
狡猾な獣は生を授かった瞬間から原罪を抱え、決して浄化されることなく、業深きままに輪廻転生と云う呪文・まやかしに溶けてゆく。
生まれ変わりなどない。
夢や希望は生きてるからこその概念であり、終わったら終わりだ。
死人に聞けば分かるだろう。
彼らは何も応えない。
元も子もない。身も蓋もない。
それが「究極の真理」だ。
故に、刹那主義の極致を求道するものなり。
面白ければ何でもいい。
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