起き抜け、例によってふと辞書サイトを回遊しておったのだが、なかなか感じの良い日本語に遭遇した。
それほど仰々しいものではないが、手紙の冒頭に掲げる「冠」の類いだ。
「拝啓」「謹啓」などは、やや改まった感じ。社外文書などに用いられ、のちに時候の挨拶が附随する。
その挨拶部分を省略したものが「前略」。
そのまま「前文省略」の意だろう。
これは、手紙文化が廃れたとは云え、まだ目にする。
「冠省」
「かんしょう」と読むらしいが、かんしょうと云えば「干渉」が筆頭に変換候補として現れるだろう。
「冠を省く」と云う意味だろうが、なかなかに無冠の皇帝っぷりが面白い。
「略啓」
「りゃくけい」。これも先述の「前略」「冠省」と同義。
兎に角、これらのワードを冒頭に掲げると云うことは、余計な挨拶は抜きにして本題から入る、と云うことだ。
単刀直入。
本題のケーキカット。初めての共同作業。
そんな脳内サブワークはさておき…
これらの語で始まった手紙は「草々」「
「草々」辺りは目にする機会もあるだろう。「匆々」も音では同じ響きだ。だが「不一」──聞いたことがない。
「ふいち? 何やら予感が……」
そこでトリップ開始である。
これらのワードが弾き出された。
「不具」については(1)の定義が一般的だろう。負の要素を持つ言葉のひとつだ。
僕は「不悉」「不尽」に心動かされた。
不悉の「悉」は送り仮名を振れば「ことごと-く」と云うことだ。それが「不」で否定されている。
ことごとく何もなされていない、のである。申し訳ありません、が匂い立つ。
「不尽」。これも同様。──尽くし切れていない。
これらの言葉に込められた「独自の負の文化」を感じた。同時に、その「負」を押し売る「したたかな傲慢さ」も。
派生的に…
日常会話と云うのは、単なる「シグナル」でしかないと感じた。意思表示や意思疎通、つまり、コミュニケーションを繋ぐための合言葉。
日常的に紡がれる言葉やよく耳にする言葉などは、ほんの「表層部分」でしか過ぎない、と云うことを改めて感じた訳だ。
おざなりで良いとは考えてはいないが、本当に大した意味をなす言葉など… そうそう耳にする機会はない。
僕に「言葉に意味はない」と云わしめた源流であると感じる。
冠省 vin.spell ビジター様
目障りな乱筆乱文の類い、ご笑覧くださり感謝して居ります。
不快感を煽るのが本意ではなく、脳内エピキュリズムを共有したい、と云う自分本位な随意に基づく、いち行程作業に過ぎません。
呉々も、ご自愛下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
as much as possible… Happy go Lucky!!
不尽
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