静 - silent shout
以前、つらつらと綴ったもの。ここから派生して、再び脳内愉悦ランデヴーしてみた。
──「青の本質」である。
周知の通り、僕は漢字が好きだ。閑さえあれば、ピックアップした漢字の解体などを行い、独自解釈の世界観を拡げたりすることに余念がない。
僕が「漢字」をどう捉えているかと問われれば「優れたデザイン」と即答するだろう。
これは「漢字」だけに留まらず、僕は「文字」に対して「優秀なピクトグラム」として捉えている感が否めない。
これほど適宜・的確に意思を伝える表現手法が他にあるだろうか。
同言語圏内において、或る程度の教育を受けていれば、その文字を起こした発信者の意図なりは、かなり正確に伝えることができる。
それを「視覚的明示化」するために生まれたオブジェクトの集合体。「意思・思考」の断片を特定独自フォルムに落とし込んだもの。
「あ」と云う文字は「あ」と云う意味以外で捉えられることは、まず考えられない。誰もが「あ」と云う認識をする。
独立したビジュアル・インプレッション。確固たる先天的記号──それが「文字」だ。
文字には、象形文字、指事文字、会意文字、形声文字などの種類がある。
*その他に「転注文字」と「仮借文字」などもある。詳細については以下参照のこと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/六書
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
それぞれの定義を簡易的に列挙しておく。
象形文字と指事文字の二種がすべての漢字の基本となり、これを「
会意文字と形声文字の二種は「文」から派生し増えたので「字」という。「字」は「孳」・「滋」(ふえる)と同じような意味だ。
僕がよく行っている「漢字解体」とは、平たく「会意文字的検証」と呼べそうだ。
冒頭に挙げたスペルでは「静」の部首「青」について着目していることが窺える。
http://ja.wikipedia.org/wiki/部首
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
些か前置きが長くなったが…
先に挙げた「静」について「青」の解釈が微妙に異なっていることに気付かされただけなのだ。
http://ja.wiktionary.org/wiki/静
出典:フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
こちらにその解答なりを発見した。
「青」には「澄み切った。穢れのない」と云う意味が込められている。他に「井」「晶」なども同じ意味だ。
「青」だけに注目すれば、「清・精・請・静・情」──これらは元を正せば、すべて同じ意味だ。
「清」→「シ(さんずい)+青」
意味:澄み切った綺麗な水。
「精」→「米(こめへん)+青」
意味:汚れなく精白した米。
「請」→「言(ごんべん)+青」
意味:澄んだ目で相手を見つめ、穢れない言葉で頼むこと。
「静」→「爭(とりあい)+青」
意味:とりあいをやめて、しんと澄み渡った雑音のない状態になること。
「情」→「心(りっしんべん)+青」
意味:心の動きをもたらすエキスのこと。本当の気持ち。本心。
これらを踏まえると、「清水」「精米」とは同じ意味を被せているだけなのだ。本来、1文字で十分に意味は伝わる。
成る程。様々な言い分はあろうが「靖国」とは護国の英霊たちに相応しい良い名前だ。
「静」の旧字体は「靜」だ。
「青」の部分に着目すると「画竜点睛」の「睛」の文字が浮かぶ。「青」の下部が「月」と「円」で微妙に異なる。
画竜点睛の故事成語の意味は云わずもがな「最後の大事な仕上げ」のことだ。竜の画を描くとき、その瞳を描くのを最後の仕上げとしたことから由来する。
「睛」──訓読みは「ひとみ」だ。
そんなことを踏まえると「青の本質」とは、澄み切った穢れのない瞳だけに顕われるのかも知れない。
流れから「青の時代」──。
そんな言葉も思い浮かぶ。
そして、ピカソや三島由紀夫が想起される。彼らがこぞって「青」へと傾倒した流れに頷けるような気がする。
ただ、やはり僕は──、
silent shout
或いは、
silent loudness
──そう在りたい。
静寂の爆音を音声なき咆哮に認む──。
Keywords: 文字 青 意味 漢字 静 字 指事 会意 象形 形声 転注 仮借
Tags: Wiki, デザイン, ランデヴー, 世界, 世界観, 即答, 咆哮, 声, 定義, 思考, 想起, 愉悦, 意味, 抽象的, 教育, 時代, 本質, 派生, 涙, 画竜点睛, 相応, 確固, 義, 解釈
(C) Art Studio Vincent. All Rights Reserved.
Powered by MT4i 3.1